「上小」とは、日本のほぼ中央、長野県の東北部に位置する上田市、小県郡(真田町・東部町・長門町・和田村・武石村・丸子町・青木村)の一帯の総称で。面積800平方キロメートル、人口202千人で、長野、松本、諏訪、佐久の各地域と群馬県吾妻地区に隣接しています。
≪地勢≫
 松本、諏訪、吾妻地域とは山脈を境界とし、峠を通じ結ばれていますが、千曲川流域の長野、佐久地域とは社会的・経済的に一体化が進んでおります。そのため、上小トラック事業協同組合の「定款」では「地区」として「北佐久郡・埴科郡・更埴市・長野市」も挙げております。北は上信越国立公園、南は八ヶ岳中信高原国定公園に属する菅平・湯の丸・霧ケ峰・美ヶ原等緑豊かな自然環境に恵まれた山々や高原に囲まれ、中央部を南東から北西に向かって千曲川が貫流しています。周囲の山々や高原地帯は観光地として名高く、千曲川両岸の盆地・周辺の丘陵地には住宅・農業・商業地帯が形成されています。

≪気象≫
 夏冬昼夜の気温差大きく、年間降水量の少ない内陸性の特徴である気候で、それ故の各種の産業が育ち、習俗が遺されています。

≪歴史≫
太古:地域の南端諏訪地域との境界地帯の和田峠(星糞峠)周辺からは、遥か大昔3万年以上も前の旧石器時代から縄文時代にかけて黒曜石を採掘・加工した跡が見つかっています。この黒曜石は全国各地の遺跡で発掘され、太古の交易の様子が伺えます。

古代:東山道は上小地区内を通過し、日本海方面と結ぶ縦軸の道路との交点として、中央や東国、更には海外との交流もあったと思われます。飛鳥・奈良の時代、科野国府や信濃国分寺・尼寺が建てられました。

平安:末期、木曽義仲軍の中心となって閉塞した時代に風穴を開けたのは良馬の生産と耕地の開拓により経済力をつけ、流鏑馬で名をなしていたこの地方の土豪達でした。

鎌倉:幕府の重臣塩田北条氏が鎌倉仏教文化の花を開かせ、数多くの国宝・重文建造物を千曲川左岸、上田市塩田平に遺し、「信州の鎌倉」と呼ばれています。

戦国:上田が全国に名を轟かせたのは知将眞田一族の活躍です。眞田氏は地区の東北部を発祥の地とし、千曲川沿いの要衝に上田城を築城し、六文銭の旗印のもと、勇気と知恵を駆使し、時代を駆け抜けました。

江戸:徳川幕府治世下、上田は城下町として栄え、地域内には中山道、北国街道が通り、和田・長久保・海野宿等旅人で賑わいました。養蚕業が発達し、上田紬が知られるようになり、文化都市として、俳人加舎白雄や洋式工学の赤松小三郎を生みました。江戸最強の力士雷電為右衛門もこの地の出身です。浅間山の噴火とそれに続く大飢餓、大洪水は幕末のこの地を疲弊させ、一揆・騒動もありました。

近代:明治から大正にかけて養蚕業・製糸業の発展とともに全国有数の蚕種の生産地となり、世界初の人工癌の山際勝三郎、農民美術の山本鼎、写真家ハリー・K・シゲタ等沢山の人々が科学・文化・芸術面で活躍しました。

≪産業≫
 日本の真ん中と称されるこの地域の人達は進取の気性に富み、古くから様々な特色ある産業を発展させてまいりました。

≪農業≫
 菅平高原など高冷地では高原野菜(レタス、白菜、キャベツなど)の栽培が盛んですが、平坦地では日照時間が長く、昼夜の温度差が大きい気象条件を活かしたブドウ(巨峰)、リンゴ(ふじ)の果樹や花卉栽培、キノコ、特色あるものとしては薬用人参、クルミなどの産物があります。

≪工業≫
 年間の降水量が少なく、乾燥した穏やかな気象条件と製糸業の全盛期に培われ、受け継がれた数々の優れた技術から新しい製造業が生まれました。電機(IT)、自動車部品、食品、機械、プラスチックなどの企業が発達しています。
なお、上田市はマルチメディアを中心とした学術研究都市を宣言しています。

≪観光≫
 上信越国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園に囲まれたこの地域は総て観光地域です。
  • 菅平高原・・・・スキー、ラグビー、ゴルフ
  • 湯の丸高原・・・レンゲツツジの大群生をはじめ、高山植物の宝庫
  • 海野宿・・・・・北国街道の宿駅、重要伝統的建造物群保存地区
  • 丸子温泉郷・・・鹿教湯・大塩・霊泉寺からなる国民保養温泉
  • 中山道・・・・・国史跡(長久保宿・和田宿)
  • 美ヶ原高原・・・眼前に3千メートル級の山々を望める広々とした高原
  • 田沢・沓掛温泉・坂田金時の姥伝説があり島崎藤村等文人に愛された古くからの湯治場
  • 別所温泉・・・・日本武尊の伝説、「枕草子」の七久里の湯、木曽義仲のゆかりも伝えられ、「愛染かつら」や眞田太平記の舞台ともなった古くから有名な温泉です。
    周辺の塩田平一帯は古代からの遺跡、国宝、重要文化財の古塔などの文化財を静かな集落や山懐に見ることができます。
  • 上田城跡・・・・戦国時代眞田昌幸によって築城、徳川を悩ませ、また治世を支えた眞田氏、後に仙石・松平氏の居城です。

 


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